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一度、太郎が経営する会社で働かせてみたこともありましたが、会社のお金を使い込んでしまい会社の取引先にも多大な迷惑をかけ、太郎の社会的な立場に泥を塗ってしまったことがありました。
太郎にはかなりの財産がありますので、このまま何の相続の対策もせずに太郎が死んでしまうと、多くの財産は正男に引き継がれてしまいます。
太郎は、太郎が一生懸命に働いて築いてきた財産を、放蕩息子の正男に簡単に引き継がせたくないだけではなく、正男が何の苦労もせずに財産を手に入れても、正男のためにはならないだろうと思い、太郎は正男に一銭も財産を残さない方法はないものかと考えています。
このように、相続される立場にある人に対して虐待(ぎゃくたい)をしたり、ひどく侮辱(ぶじょく)をする行為(人前で強く非難したり軽蔑する行為や発言をして、その人の社会的な評価を下げる行為)をしたり、ひどい非行行為などがあった場合に、この虐待や非行行為を受けた相続される立場にある人は、その行為をした相続人を相続人から除くことができます。
具体的にどのような手続きをして相続人から除くのかというと
相続される立場にある人(このケースでは太郎)が、家庭裁判所に「相続人の廃除の申立て」をします。裁判所から「相続人〇〇(このケースでは正男)を相続人から除くことにする」という許可を出してもらって、相続人から除くことができます。
また、相続人から除くことは、遺言書によってもすることができます。
太郎が、遺言書の中で「正男を相続人から除く」という内容を書いておくと、太郎の死亡後に遺言執行者(太郎から遺言の内容を実現するように指名された人)が家庭裁判所に「相続人の廃除の申立て」をして裁判所から許可を出してもらって、正男を相続人から除くこともできます。
相続人が相続人から除かれてしまうと、死亡した人の財産を引き継ぐ権利は完全に奪われてしまいます。
家庭裁判所は、相続人(このケースでは正男)によってどのような虐待や非行行為がされて、その行為が実際にどのくらい相続される立場にある人(太郎)に影響を与えたのかを慎重に判断して、相続人から除いてもよいものなのかどうかを検討します。
相続人が相続人から除かれるためには、社会常識的に見てもかなりひどいと思われる程度の虐待や非行行為などがなければなりません。
子どもの非行行為が少年期の一時的なものであったとか、子どもが親の反対を押し切って結婚をしたという程度の理由では、相続人を相続人から除くことは認められていません。
「相続人の廃除の申立て」によって相続人から除かれる可能性がある相続人は、遺留分を請求することができる相続人、つまり兄弟姉妹以外の相続人だけです。
(遺留分の詳しい説明は、遺留分のページをご覧下さい)
もし兄弟姉妹が相続人になる可能性があり、その兄弟姉妹に何も相続させたくないときは、そのような内容の遺言書を残すことでその目的を達成することができます。
(兄弟姉妹には遺留分はないからです)
注意しなければならないのは、たとえば太郎は正男に財産を引き継がせずに、正男の弟の正二にだけ財産を引き継がせたいので、遺言書に「正二にすべての財産を譲る」という内容を書いてしまった場合です。
正男は相続分は引き継ぐことができなくても、正男は太郎の子どもなので法律で認められた取り分(遺留分)を請求する権利までは奪われてはいません。
正男は相続分はありませんが、正二に対して法律で認められた取り分を請求することはでき、正二はこれを拒否することはできないので、結果的に正男は太郎の一定の割合の財産を引き継ぐことができることになります。
したがって、遺言書だけによる方法では、完全に相続人(正男)を相続人から除くという目的は達成できないことになります。
もし、完全に相続人から除きたいのであれば、「遺留分の放棄の申立て」をする必要があります。